〜パンダ技士の徒然日記〜

一児の父親です。事実は小説よりも奇なりと言われますが、世の中は本当に面白いことばかり。何でも自分の目で見て、聞いて、読んで、食べて、考えて、試してみて、書いてみて。真面目だったり、シュールだったり、センチメンタルだったり。

保育園児の声は騒音なのか?

保育園児の声は騒音なのか?

 昨日のニュースが大変気になりました。そんなことを考えた事がなかったので、ニュースの内容に驚きを感じました。自分もそうだったのですが、保育園児位の子供を持つ親の立場から見ると、大変複雑なニュースだと思います。

 ただ、「心が狭い」とか「子供に対する理解がない」と言ってしまうのは簡単ですが、どんな事にも理由があると思います。今日はその辺りの事をちょっと考えてみました。日本の社会が寛容な心を失いつつあるのは現在進行形の事実としてあると思いますが、現実問題としてどう折り合いをつけていくか?を考えていく時に、一方的な批判はあまり役に立ちません。

 まず、きちんと数字の中身を確認しておく必要があります。ヘッドラインでは35%が保育園児の声は騒音か?の問いに「同感」と書いていますが、その内訳は「ある程度」が29.7%、「とても」が5.4%でした。35%の人間が単純に騒音として認識しているわけではなさそうです。逆に「全く同感できない」が26.4%、「あまり同感できない」が38.5%で、同感側の人数を上回っています。従って、保育園児が騒ぐのは騒音ではないor あるいは仕方がない、と考えている人の方がまだ多数派という事が言えます。このヘッドラインは釣りタイトルの性格が強いと思います。

 住民との対立事例

しかしながら、実際に対立が起きているケースもちらほら。

 今や保育所は、騒音を出す迷惑施設として反対する人がいるみたいです。しかもアンケート上の反対ではなく、具体的な行動を伴って。これ、けっこう衝撃でした。

 この住民の方々に対して色々な批判の声があるようです。でも多分、こういうことはこれからも起きると思います。単純に住民の方々を責めても、おそらく問題解決には繋がらないでしょう。個人的には、子供とは大きな声を出すものだと思うので、それは当然のものとして受け入れます(小学生以上で所かまわず煩さかったらそれは怒りますが)。でもそれは私個人の考えであって、広く社会全般で折り合いをつけていくには、どういった方法がいいのか、もうちょっと具体的に考えていく必要があるそうです。以外と根が深い問題かもしれません。

保育所が圧倒的に足りない

 このような問題が起きている一方で、保育園は圧倒的に足りないのが現状です。足りないと言うよりは、大都市圏と中心として必要な所に足りていない。その結果、保育園に預けられなくて職場復帰できなかったり、職を失ったり。なので、二人目三人目の子供を作ることに躊躇してしまう。結果、子供が増えない。はっきり言って、どんな経済対策よりも由々しき問題だと思います。

 

どう折り合いをつけていくか(建築技士の視点から)

 「子どもの声を騒音だと思う人がいる」という前提があまり無かったように思えます。一つの施策として考えた時に、建築技士である自分から実際に保育園の作りを見てみると、音に対する配慮があまり見られない事が多いです。音の漏れにくい二重ガラスにしたり、音を吸収しやすい仕上げ材を使っている保育園はあまり見たことがありません。これまで見てきた範囲で言うと、あまり防音性を深く考えて作られてないのが現状だと思います。普通の家とさほど変わりがないので、それは音なんか防げるわけがありません。庭で遊ぶ時の音は防ぎようがありませんが、建物の作りでは保育園側もまだ努力の余地があるように思えます。もちろん予算あっての話なので、難しいこともあります。でも、我慢して下さいだけだと問題解決になりません。特に都心でこれから保育園を増やしていくには、どこかの施設の中に入居させる形が多くなると思います。その場合は、既存の部屋が十分な防音仕様となっていないことも考えられるのです。

 また、保育園によってはママさん達のコーラスサークル等の場になっている場合もあるようです。音楽を流して、大勢で歌を歌う。それは楽しいと思いますが、同じく十分な防音仕様でなければ、近所の人は苦痛に感じる可能性も考えられます。保護者の方々が子供達のために歌を練習するのはとてもいいことです。でも本当に苦痛に感じている人にとっては、やはり苦痛なのでしょう。多分、きれいごとではないのだと思います。

 子供は可愛いです。子供は家族の宝で、社会の宝でもあります。みんなで大切に育てなければなりません。でも、家の中で子供が本気で叫けば、親でも「うるさい」と言いたくなる気持ちはあります。どんなに可愛くても、それは絶対あると思います。それが何十人もいて、朝から騒ぎ、それが毎日続く時の気持ちも考えてあげなければならないと思うのです。

 圧倒的に足りない保育所を増やしていくことは、国の将来にも大きく関わることです。保育所を増やすことは大変重要ですが、数だけではなくハード面の性能向上にも手を打っていく必要があると考えます。保育所だから寛容になれ、と一方的に責めるべきではありません。「我慢して下さい」の考え方を変えないと、現実問題として衝突はこれからも起きるし、保育所を増やすこともできません。

 この問題、これからも推移を見守りたいと思います。